株式会社ダムドレ

ポータブルサイフォン

 

              ( 設置イメージ )

 

 ダムドレは大林組と共同開発により、山間部の土砂崩れが川をせき止めてできる天然ダムの決壊を防ぐ緊急時の排水技術を開発しました。車両や重機が近づけない場所に導入できるよう、排水装置を分割・軽量化したのが特徴です。湛水池からホース(排水管)を敷設し、吸い込み口と吐き出し口の水位差(サイフォンの原理)で自動排水します。排水量は1分間当たり2・4立方メートルです。開発した「ポータブルサイフォン」は、斜面崩壊などで流出した土砂でせき止められた水を排水する技術。燃料が不要で、排水管やバルブなどの排水装置を軽量化し、分割して運べるようにしました。
 部材は現地までヘリコプターで輸送します。最も重い部材で25キロのため、重機を使わずに人力で容易に組み立てられます。長さ2・5メートルの排水管を100メートルつないだ場合、現地到着後約6時間で排水作業を開始できます。ホースを設置する最頂部にバルブユニットを設置し、排水開始前に配管を満水にするための呼び水が自動で注水される仕組みです。ホース両端部のバルブは湛水地の水位変動に応じて自動で開閉を繰り返すため、排水時の労力をゼロにできます。
 異常があった場合、現地の制御盤から信号を発信する機能を備えます。排水状況を遠隔地から監視できるため、現地に人を配置する必要がなく、安全です。災害直後は周辺道路が寸断され、車両で現地に近づけないケースが少なくありません。今後は、ポータブルサイフォンを、排水ポンプ車や大型ポンプを使う従来の方法に代わる新しい対策として国や地方自治体に積極的に提案し、天然ダムの決壊に伴う二次災害の防止に役立てていきます。